予防歯科は、むし歯や歯周病にならないお口の環境づくりを担っています。
一昔前は「むし歯になったら歯医者さんで治療を受ければいい」と考える人が大半でありました。
しかし、むし歯になるたびに治療を繰り返していては歯を失いかねず、自身の歯で食事や会話を楽しむことが難しくなる恐れがあります。
食後に歯磨きを行っていても、むし歯や歯周病になることも珍しくありません。ご自身で行う歯磨きだけでは落としきれない汚れもあり、セルフケアに加えて専用の機器や研磨剤で汚れを落とすプロフェッショナルケアを受けることが望まれています。
今現在は「むし歯や歯周病にならないために歯医者さんに通う」ことが大切だと考えられており、生涯に渡り自身の歯で食事や会話を楽しむためにも、多くの患者様に予防処置やクリーニングを受けていただきたいと考えております。
歯を失う原因の大半は、歯周病とむし歯といわれています。
しかし、これらお口の中の疾患は、誰でも罹患する可能性がある身近なものであり、歯周病やむし歯にならないように予防を行い、歯を失うリスクを抑えることが望まれています。
お口の中には、数百種類もの細菌が潜んでいます。
その中には、むし歯や歯周病の原因菌も含まれ、歯磨きが十分に行われずにお口の中が汚れた状態が続くと、やがて歯周病菌やむし歯菌が増殖し、歯や歯を支える歯肉や顎の骨（歯槽骨）をはじめとする歯周組織を蝕んでいきます。
むし歯菌は生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には存在しておりませんが、経口感染するといわれています。たとえば、大人と赤ちゃんが食器を共有したり、口移しを行ったりしてしまうと、感染すると考えられています。
むし歯菌に感染すると、お口の中のむし歯菌は食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサにして、酸を生み出します。酸は歯を溶かし、やがてむし歯へと進行していきます。
また、歯の表面組織であるエナメル質のみが溶かされた状態を「初期むし歯」といいます。歯は唾液に含まれるカルシウムとリンを吸収しもとの状態に戻る特性があり、この働きを「再石灰化」といいます。
健康な歯は、酸と再石灰化のバランスで保たれていますが、お口の中が汚れているとバランスが崩れ、むし歯が増殖し歯を蝕んでいきます。
歯周病はお口の中に存在する複数の細菌が関係しているといわれています。
歯の表面には唾液由来のペリクルと呼ばれる、目に見えない薄い膜が形成されます。ペリクルは歯を守る役割もありますが、表面がネバネバしているため細菌を呼び寄せてしまう特性もあります。
歯の表面などに形成される白いネバネバした歯垢（プラーク）は、ペリクルに付着した細菌の塊です。
歯磨きなどが十分に行われていない場合、やがてネバネバした大量の歯垢が歯面に形成され「バイオフィルム」と呼ばれる状態となります。
バイオフィルムとなった歯周病菌は歯肉を炎症させ、次いで歯を支える歯槽骨、歯根膜、セメント質までを溶かされ、やがて歯が脱落する事態を招いてしまいます。
歯周病は静かに進行していく疾患であり、歯周病と気付いたときには大きく進行していることも少なくありません。
当院はむし歯や歯周病を防ぐために、患者様のお口の中の状態やライフスタイルにあわせて、予防のご提案をさせていただいております。
また、予防は1度きりではなく、継続して行うことが重要であり、当院は定期検診を実施し、患者様のお口の健康をサポートいたします。
資格保有者である歯科衛生士が行うPMTCでは、歯面に形成されたペリクルや細菌の層となったバイオフィルムを取り除くために、専用の機器と研磨剤を使用してお口の中をきれいにしていきます。
3ヶ月に1度の頻度で行うことで、歯面にペリクルが形成されるのを抑えることが可能です。
歯垢はやがて歯石となり、歯面や歯根面に強固に付着して、新たな歯垢を呼び寄せてしまいます。
歯石は普段の歯磨きでは取り除くことができず、超音波スケーラーなどで歯石を砕きながら取り除いていきます。定期的に行うことで、むし歯や歯周病の予防につながります。
歯と歯肉の境目に存在する溝を歯周ポケットと呼びます。
歯周ポケットの中にプローブと呼ばれる器具を挿入し、歯周ポケットの深さを測定していきます。歯周ポケットが深ければ深いほどに、歯周病が進行している指標となります。
また、同時に歯の動揺度の確認や、既往歴、生活習慣なども把握するための問診を実施します。
歯科医院で定期検診に歯のクリーニングを行うことに加え、予防は普段の歯磨きからはじまります。
歯磨きしている様子を確認させていただき、患者様の磨き方の癖を読み取りながら、歯並び・かみ合わせに考慮して的確に汚れを取り除けるように歯磨き指導を実施します。
